今まで当ブログをお読みいただきまして、ありがとうございました。
このたび、ブログを引っ越すことにしました。引っ越し先ははてなブログです。
今後とも、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
今まで当ブログをお読みいただきまして、ありがとうございました。
このたび、ブログを引っ越すことにしました。引っ越し先ははてなブログです。
今後とも、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
すでにご存じの方もいらっしゃるとは思いますが、私が代表を務めている株式会社FrogAppsから、この度、miil (ミイル)というサービスをリリースしました。まずはこれまで支えてくださった皆さんに心より御礼申し上げます。ありがとうございます。そしてこれからも、どうぞ宜しくお願いいたします。
さて、このmiilのリリースにあたり、miilが生まれた経緯、そして私たちが何を目指し、何を実現したいと思っているかを簡単にご案内しておきたいと思います。
私は、この10年以上を飲食店の経営に捧げてきました。その間に見てきたことは、「ネット業界から飲食業界への強烈な片思い」とでもいうべきものでした。実際、過去10年の間には、数え切れないほどのグルメサービスが生まれては消えていきました。また、ネット系の方々と親しくなって感じるのは、本当に外食を大好きな方が多いこと。そういう方々が飲食系のサービスを立ち上げたいと思うのも、無理のないことだろうと思いました。
しかし、その中で本当に成功できたサービスはごくごく一握りに過ぎません。その理由は、ネットには飲食業の実情や現場を理解している方が極めて少ないからなのではないかと思うのです。
ネットの側は飲食を愛して愛して愛し抜いているのに、飲食業界は「ネットは難しい」「ネットは怖い」という方がほとんどです。結果として、飲食業界はネットの方々に自分たちの思いや実情を正確に伝えることができないままでいます。この一方通行は、これまでの10年間変わらない構図と言えるでしょう。どのようにネットの力を活かせば飲食業界が幸せになれるかを、なかなか上手くカタチにできないままになっているわけです。
確かに、従来の様々なグルメサイトも、人々の外食スタイルや飲食店の運営をとても便利に変えてきました。それは紛れもない事実です。食べログやぐるなびに代表されるグルメサービスがなかったら、僕らの食生活はこんなに便利で豊かにはならなかったでしょう。しかし、それらのサービスが飲食店やお客様が求める究極かといえば、必ずしもそうとはいえない側面があることも事実です。時には、それらのサービスの存在が飲食店やお客様にとって大きな脅威になったり、ストレスになったり、お客様とお店の対立を生むことがあるのも、否定できない事実でしょう。
私にとってこの10年は、そんな問題が目の前にあるのが分かっていながらも、それでも自分としては何もできない、あまりにもどかしい10年でした。ネットの力をうまく活用できれば、もっともっと飲食店とお客様の双方が幸せになれるはずなのに。個性にあふれた元気なお店が増え、食文化がもっともっと豊かになって、外食だって今まで以上に面白くなるのに。
miilは、そんな私の過去10年にわたる実感や問題意識、そして私なりの「グルメサービスの理想像」を形にしたものです。目指しているのは、お客様と飲食店の双方がハッピーになり、そして食文化がもっと豊かになっていくようなサービスです。
もちろん、私の思いや考え方が必ずしも飲食業界を代表するものではないかもしれません。それでも、ひとりの飲食店経営者として、現場の声を自らの手でカタチにし、お客様との関係性をよりよくしてくことに貢献できればと願ってやみません。
miilは、まずはシンプルに「料理写真共有サービス」としてローンチしました。現時点では、あまたある同様のサービスの一つにしか見えないかもしれません。しかし、それがmiilの全てではありません。miilをユニークなサービスたらしめる、肝となる機能はまだこれから少しずつ明らかになっていきます。私たちはmiilを「ぐるなび」「食べログ」に次ぐ第三のグルメサービスに育てたいと思っています。そして、それに向けて、着実に機能を強化していく予定です。
ともあれ、まずは皆さんにはmiilで写真を撮り、親しい友人や家族と共有することを純粋にお楽しみいただければと思います。
miilは、皆さんとすてきなお店との出会いを増やし、お店とのつきあい方、食の楽しみ方を変えていきます。私たちの提案する理想のグルメサービスに、是非ご期待ください。
追伸
miilの公式ページは、今後FBページにて展開していく予定です。現在は仮オープン状態ですが、FBとのサービス連携も含め、できるだけ早く正式運用をスタートしたいと思っておりますので、どうぞ宜しくお願いします。
あ、それと、まだまだお金のない小さな会社ではありますが、志を同じくする仲間も全力で募集中です。開発、デザイン、マーケティングなどなど、興味のある方はぜひ私までご連絡下さいませ。TwitterまたはFBでいつでもどうぞ。
かなり前から覚悟していたとはいえ、そのニュースをクルマの中で聞いた瞬間から涙が溢れ出て、僕はそれ以上運転を続けることができませんでした。
ジョブズが死んじゃった…
「ジョブズがいない世界」を、僕はまだまだ受け入れることができなさそうです。
すでにジョブズについては多くが語られていますし、今回の逝去でもたくさんの方が素晴らしい記事やブログを書かれています。もはや、僕ごときが語る事なんて何も残っちゃいません。それでも、僕も書くべきだと思いました。
僕は、僕にしか書けないことを書く。だから、僕は、僕のお店作りとジョブズについて書こうと思いました。
僕とAppleのつきあいは、貯金をはたいて買ったPowerBook 140からです。あの頃から僕にとってのMacは単なるパソコンではなくて、「世界が変わる」ことを予感させてくれる、特別な宝物でした。それ以来、僕にとっての「パソコン」は常にそのままMacを意味していました。その後、僕はコンピューターとは全く無縁な飲食業界に入るわけですが、それでも僕にとってAppleは特別な存在であり続けました。
僕はこれまで、豚組というレストランや、壌という立ち飲み店を経営してきましたが、これらのお店は全て、Appleなくしては生まれなかったと言っても過言ではありません。コンピューターを作っている会社が、なんで飲食店のお店作りと関係があるんだと思われるかもしれませんが、それでもそれは紛れもない事実です。
僕自身、これまでの社会人生活の中ではいろいろな方に仕事を教えてもらってきましたが、それでも僕の最大の「師」はジョブズであり続けたと思っています。もちろん、直接会ったことも話したこともありませんが、それでも僕は彼から最も多くのことを学びました。生き方。人生の目的。仕事の目的。仕事に対する姿勢。こだわり。
彼がいなかったら、おそらく、僕の人生はまるっきり違うものになっていたと思います。それは単にMacやiPhone/iPadという素晴らしいツールを手にできなかったということではなく、僕自身の「生き方」に関わる部分で、です。
全く異なる飲食業界に身を置くことになっても、僕が「世の中を変えるような仕事をしたい」という思いを持ち続けることができたのは、まさにジョブズがいたお陰だと思うのです。
僕が自分のお店を作るとき、常に念頭にあったのは「ジョブズだったらどういうお店を作るだろう」でした。そしてそれを実現するためにどういう手法をとるだろうか。それこそが、僕のお店作りにおける重要な指針だったのです。
お客様にMacみたいな感動を与えられる飲食店を作りたい。Appleみたいに世の中を変えられるような会社でありたい。それを僕なりに解釈して、カタチにしたのが壌であり豚組だったのです。(ちなみに、壌では、開店当初からカウンターの上にiMacを置き、そこにメニューを表示させたり、iTunesでBGMを流したりしていますが、それはまさにお店の思想を表す「象徴」でもありました。Macを置くにふさわしい店であり続けたい、という思いを込めて。)
もちろん、僕がやっていることは、ジョブズの仕事のごくごく一部の表面をほんのちょっとなぞっただけかもしれません。でも、僕自身が長く愛せる大切なお店を作ることができたのは、まさに彼のお陰だったと思っています。彼の生き方を見ていなかったら、多分、店作りのどこかで弱気になり、妥協し、あきらめ、そして自分が愛せない中途半端なものを作ってしまっていただろうと思うのです。
僕の人生は、まだまだ道半ばです。本当にやりたいこと、実現したいことの1割も達成できていません。でも今、ジョブズがこの世からいなくなってしまったことが、大げさでなく、本当に心細くてならないのです。
僕らはこれから、道を誤らずに、今までと同じように前に進んでいけるだろうか。困難なことがあっても、妥協せずに理想を追い続けることができるんだろうか。ジョブズのいない世界は、今までと変わらず、より美しく、より便利で、より楽しいものになっていけるんだろうか。
多分、それはAppleの社員だけでなく、彼を敬愛する僕ら全員が問われているんだろうと思います。
飯野さんは、僕にこんな声をかけてくれました。そうなんだよね。うん。僕ら「ジョブズの子供たち」が、みんな、彼からバトンを受けているんだろうと思うのです。僕には僕なりの、ジョブズからの受け継ぎ方があるはず。だから、僕は僕の居場所で頑張っていこうと思います。
最後に。
スティーブ、今まで本当にありがとう。僕に「楽しい生き方」を教えてくれたのはあなたでした。
EvernoteのPhil Libin氏が、「100年企業を作る」という構想を語っています。
先日のTechCrunchの記事でも取り上げられていましたが、昨晩、Evernoteご一行様が豚組しゃぶ庵にご来店になった際のPhilのスピーチでも、同じことが語られていました。そしてその内容には本当に深く感銘を受け、心から感動しましたので、それをここに書き留めておきたいと思いました。
まず、昨晩のPhilのスピーチは、僕の記憶だけを頼りに概要をまとめると、こんな内容でした。
Evernoteは、今や全世界で1,000万ユーザーを誇るまでになりました。そして、日本のユーザーはそのうちの200万人を占めます。日本は、Evernoteにとって最も重要な市場の一つといえるでしょう。しかし、日本はそういった営業的側面にとどまらず、Evernoteにとってもっともっと大事な価値を持っています。
先日、セコイアから5千万ドルの追加資金を調達した際にも語ったことですが、私はEvernoteを『100年続く企業』にしたいと考えています。私たちは、Evernoteを売却するようなEXITは全く考えていません。100年続く会社を育てる。それこそが目標です。今回調達した資金も、すべてはそのためです。
しかし、実は100年続くなどという目標を掲げる企業は、シリコンバレーでは非常に珍しい存在です。それを語る経営者もほとんどいません。しかし、Evernoteはユーザーの大切なデータや記憶を預かるサービスである以上、その事業を長く長く続けていく責務を負っているのです。
なぜ私がそう考えるに至ったか。その原点は、まさに日本にあります。日本では、むしろ100年続けるという目標を掲げる企業は決して少なくないのではないでしょうか。そう、私は、日本でそれを学んだのです。
確かに、これほど変化の激しいネット業界で仕事をしていたら、ほとんどの人は「100年先」を考える余裕なんてないでしょう。それより、半年後、一年後にどう生き残り、あるいはどう急成長を実現するかで精一杯なのではないでしょうか。 そういう意味では、実は日本でも、100年後を見据えて事業展開できている会社なんて、ネット業界にはほとんどいないのではないかと思います。
実は、豚組を作ったときに私が掲げたのが「50年、100年後に老舗と呼ばれる店を作る」でした。今の飲食業界も、昔に比べるとお店の入れ替えが激しくなりました。流行の期間は非常に短く、新しい業態が登場しても、あっという間に消費され飽きられてしまいます。お店を出しても、それを長く続けるというのは、本当に難しい時代になってしまいました。結果、飲食店経営者の間でも「いかにして初期投資を低く抑えて利益を得やすくし、短期間に一気に回収して撤退するか」という考え方が主流にすらなりつつあります。しっかりとした投資をして、そこで何十年と続くようなお店をやろうと考える人は、今や本当に少数派です。
だからこそ、私は「お店の数」や「売り上げ」ではなく、規模は小さくても、50年100年続くような、そしてその頃には「老舗」と呼ばれているようなお店を作りたかったのです。(しかし、それは本当に難しいことだと、開店して4年足らずで改めて痛感しています)
日本で、そしてネットではなく飲食業界ですらこれが現状です。その中にあって、Evernoteが100年企業を作ると宣言することがどれほど画期的で大胆なことなのか。これは、業界を知る人ほど強く感じることなのではないでしょうか。
しかしこれは、別の角度から考えれば、実はごくごく当たり前のことだとも言えます。100年企業を目指すこと。それは、「ユーザーが安心して自分の大切な情報をすべて預けるに足る存在になる」ことだからです。一言でいえば、つまり「信用」の問題。
実際、私たちユーザーがクラウド系のサービスを利用するときに最も心配するのはその点だったはずです。私自身、自らのメール環境をGmailに全面的に移行するときにも、「本当にGoogleに全部預けちゃって大丈夫なんだろうか」と心配したことを今でも思い出します。もしGoogleがつぶれてサービスが続けられなくなったら。もし他社に買収されて、サービスが中止されたら。そういうリスクはいくらでもあります。自分がHDDを購入してそこにデータをため込むのもリスクは大きいのですが、自分の知らない、得体の知れない誰かがやっているサービスに全てを預けるのも、本来的には相当に覚悟のいる話ではあります。
近年、クラウド系のサービスは次から次へと登場していますが、そのときに、ほとんどの人は無意識のうちに「このサービスはずっと安心して使い続けられるだろうか」という判断を下しているはずです。今やクラウドはごくごく当たり前の存在になってしまったので、多くの方がそれを明示的に意識することは減っているかもしれませんが、それでも「こいつはちゃんとこのサービスを永劫続けていけるんだろうか」ということを頭のどこかでは意識しているのです。
では、実際にサービスを提供する側は、それをどこまで重視しているでしょうか。残念ながら、そこを重要視している会社は、それほど多くないのではないかと思います。Going Concernを考えるとしても、それは「自分たちが生き残る」という視点であって、ユーザーに対する責務と考えるケースはほとんどないでしょう。
むしろ、いざというときに備えて利用規約に免責をしっかり盛り込み、またある程度サービスが大きくなったら他社に全部売ってEXITしようと考える人も、少なくないはずです。そしてそのようなことを考える人の頭には、決して100年企業などという発想は浮かんでくることはないでしょう。
もちろん、それも一つの考え方であって、必ずしも「悪」ではありません。たとえば、サービスの「立ち上げ」に得意な人が、それを「育てる」ことも得意であるとは限りません。むしろ外部の企業にサービスを売却して、より大きく育ててもらうという判断が正しいこともあるでしょう。その方が、結果としてユーザーだってハッピーになるかもしれません。また、EXITが描けなければ、VCから資金を調達することもできませんから、そうなれば、そもそもサービスを続けていく資金に困ってサービスが止まることだってあるかもしれません。
しかし同時に、「どこかで辞める」ことを大前提にしてサービスを提供している限り、ユーザーの深い信頼を得ることもままならないのではないか、というのも一面では真実でしょう。
そしてPhilは今、まさにそれに真っ正面から向き合っているのですね。
彼はこれまで、Evernoteはあなたの第二の脳だと語り、そしてそこに人生のすべてを保存していこうと呼びかけてきました。それはEvernoteを単なる「メモツール」から脱却させる上で実にキャッチーなメッセージですし、それこそが今のEvernoteの独自の地位につながっていると言っても過言ではないでしょう。しかし当時に、それを語るには、それ相応の覚悟と責任が必要であり、またその資格を得るのは並大抵のことではないことも、すべて理解しているのでしょうね。そしてこのような考え方や姿勢こそが、Evernoteを特別な存在にしているのだと思うのです。
クラウドという概念やインフラサービスが登場し、過去には考えられなかったくらい、新しいサービスを開発し提供するハードルが下がりました。それに伴って、数え切れないほどたくさんのサービスが登場しています。従来では採算のとれなかったようなニッチなサービスでも成立しやすくなり、起業する人にとっては恵まれた環境ができつつあると言えるでしょう。(この参入障壁の劇的な下がりっぷりは、まさに外食産業がたどった道と似ている気がするのですが、それはまた別の機会にでも)
しかし、参入するのが簡単になったからといって、そこで成功することまで簡単になったわけではありません。むしろ、競争が激しくなった分、その中で生き残るのはむしろ以前よりも遙かに難しくなった側面もあるはずです。
では、その中で、今後どんなサービスや企業が生き残るのでしょうか。もちろん、アイデアも大事です。技術力だって不可欠です。デザインやマーケティングやマネジメントの巧拙も重要です。しかし、実はそれだけで勝てる世界は、どんどん狭まってきているのかもしれません。そして、Philが提示した「サービスを提供する者としての矜持や覚悟」を持っているかどうかが問われる時代が来るのかも。なぜなら、そういう覚悟を持つ者が作るサービスなら、開発者のモチベーションも違ってくるし、そこには魂が宿り、その熱量は絶対にユーザーにも伝わるはずだから。そしてそういう会社でなければ、ユーザーからの尊敬も信頼も得られないだろうから。
そういうわけで、ビジョナリーとしてのPhilの言葉から、なんとなくそんなことを感じた次第です。
てか、Philをみていると、「ビジョン」ってのはこういうことを言うんだよ、ってのをホントに教えられますね。彼の語ることはいつも実に深く示唆に富んでおり、物事の本質を見事に見抜いていて、彼の語ることと比べれば、僕らの語ってることなんて単なる「目標」にしか過ぎないよね、と痛感させられます。
ともあれ、こんなことを偉そうに書き綴っているいる自分自身も、FrogAppsという会社でサービスをスタートしようとしているわけでして、これはすべて壮大なブーメランになるという一面もあるわけですが。
改めてその覚悟をしっかりと持たなければと教えられた気がする今日この頃でした。
INFOBAR買いましたよ。
発表時は無視どころか「けっ!単なるスキンとランチャーでAndroidをカスタマイズしたって、UIに一貫性が無くなって使いづらくなるだけだわ!OSがアップデートされたらどう対応するんだよ!」と心の中で全力でdisっていたんですけどもね。
発売後にauショップに立ち寄って、実機に触った瞬間、自分が大きく間違っていた/大事なことを見落としていたのに気づいた次第です。馬鹿にしていてごめんなさい。僕が間違っていました。
店頭で触ってからというもの、ずっとINFOBARが頭から離れなくなって、数日後に我慢できずに購入したのですが、それからというもの、iPhoneの稼働率が激減しました。これまで、AndroidではNexus One・Galaxy Tab・Nexus S・Evoといくつかの端末を購入して使ってきたのですが、どれ一つとしてiPhoneの代わりになれそうなものが無かったことを考えると、これは僕の中では革命的で画期的なことです。
今や、僕の中ではiPhoneよりもINFOBARの方が可愛いくらいですからね。少し前までは想像すらできなかったことが起きています。
で、そのINFOBARの何がそこまで僕の心をつかんでいるかについて考えてみると、実はそこにはAndroidの未来がある気がしたので、ここでブログにまとめておきたいと思いました。
INFORBARの何が、ここまで僕に刺さったか。一つ一つ挙げてみましょう。
1)フォントが美しい
なんと、INFOBARではUIにモリサワフォント(モリサワUD新ゴM)が採用されているのですね。これがまず決定的に違う。まさに大英断だと思います。
※以前アップした画像が、テキストの流し込みがうまくいかなかったのか「カーニングが美しくない」というご指摘を頂いたので、改めてちゃんとキャプチャを取り直しました。
僕は、Macが一番革命的だったのは「UIにヒラギノを採用したこと」だと思っているのですが、たかがフォント、されどフォントというのは、MacとWindowsを比べてみれば一目瞭然です。明らかにMacの方が「使う気にさせる」オーラをまとっていて、そのかなりの部分をあの美しいフォントが担っていると言っても過言ではないでしょう。
一般的なAndroid端末もまさにWindows的でして、これまではDroid Sansなどのフォントでお茶を濁すにとどまっており、美しさなんてこれっぽっちも考えていないことが明らかでした。僕はそこで仕方なく自力でRootを取ってフォントを入れ替えたりしていたのですが、やはり、フォントほど端末を使うモチベーションを左右するものはありませんね。とにかく、このモリサワフォント、皆さんも店頭で確かめてみて頂きたいと思います。ホントに、他のAndroid系端末とは一線を画しますよ。
2)ホーム画面
これはもう、INFOBARで最も注目されているところですので、皆さんがご存じでしょう。Androidでよくぞここまでいじったな、というくらいにオリジナルなものになっています。
しかし、このホーム画面の最大の特徴はそのデザインではなくて、構造にあると思っています。iPhoneやAndroidのUIは、基本的に「いくつかの画面に分かれている」のが通常で、その画面をフリックで左右に移動しながら、目当てのアプリのアイコンを探したりするわけですね。しかし、INFOBARでは、それを「縦に超長い、巨大な一画面」にまとめてしまうという手法を採用しています。
iPhoneや通常のAndroidでは、画面ごとに「頻繁に使うもの」「仕事用」「ゲーム」など分類してアイコンを置くわけですが、これはいわば擬似的に「階層構造」を作っていると言えるでしょう。その階層を横に移動してアプリを起動したり切り替えたりするわけですね。
しかし、INFOBARではそういう階層を無くしてしまいました。多分このUIのヒントはWindows Phone 7だったのではないかと思うのですが、INFOBARでは画面単位に分解してしまうのではなく、大きな画面に適当な区切りなどを入れながら、全てをそこにまとめてしまうという方法をとりました。これはまさに、AndroidのUIの考え方を根本から変えてしまうことです。
これが使いやすいと考えるか使いづらいと考えるかは人それぞれなのでしょうが、僕の感覚では「画面に閉じ込められずにのびのびと自由に使える」という気持ちよさにつながっていると感じます。iPhoneのように箱庭的に作り込まれたUIも快適ですが、開放的でのびのびしている空間も、それはそれで気持ちのよいものです。
3)細部に気を配っている
実は僕がフォントの次に感動したのがこれです。まさに神は細部に宿る。
INFOBARでは、上部の通知バーをプルダウンすると、各種お知らせの下にバッテリーや電波強度などのステータスが表示され(タップすると設定に飛びます)、さらにその下にはマナーモードや画面自動回転の設定、microSDの設定や起動中のアプリの管理などのボタンまで用意されているのです。
これは本当に便利。普通のAndroidですと、こういう設定はホームからメニューボタンを押し、設定アイコンをタップして目的の項目を探して、とやらなければならないところなのですが、これが全てプルダウンからワンタップでアクセスできてしまう。
AndroidのUIの不便なところを見事に解決してくれているのですね。これによって、端末の管理が非常に楽になりました。これも快適さの向上に大きく寄与している点ですね。
さらに、標準搭載されているアプリにもかなり秀逸なものが揃っています。例えば「Task Cleaner」。Android端末はマルチタスクを実現しているため、いろいろなアプリを利用するとメモリが圧迫されてパフォーマンスが落ちてしまいます。それを防ぐには、起動しているアプリを定期的に終了していくという作業が必要なのですが、それを行う「タスクマネージャー」系のアプリは、どれも使い勝手が今ひとつなのですね。そこにきて、このTask Cleanerは相当にできがよいです。スリープする際に自動的に起動しているアプリを終了してくれたり、Backボタンで終了させたりと、きめ細かい設定でこまめにアプリを終了して、フリーメモリを確保できるようになるのです。このおかげで、僕のINFOBARは常時サクサクの状態を維持できるようになりました。これがどれほどストレスを軽減しているか。想像以上に効果は大きいのです。スマートフォンになれていないユーザーにとっても、非常に重要な気配りと言えるでしょう。
4)端末が小さい
これは実際に買って、日々持ち運んで初めて分かったことなのですが、端末が小さいというのは、実は様々なメリットがあるのですね。最近のスマートフォンは基本的に巨大化する傾向があって、もちろんそれには画面が広くなるメリットもあるのですが、それと引き替えに不便なことも増えていたのですね。例えば端末が重くなること。あるいは、片手で操作しづらくなること。こういうデメリットについては僕自身もあまり意識的でなくて、むしろ「画面が大きい方が表示される情報の一覧性が上がって便利になる」と歓迎していました。しかし、小さい端末には小さいなりの魅力がたくさんあることに気づかされた次第です。日々持ち運ぶわけですから、ちょっとした大きさの違い、重さの違いは自分で思う以上に「じわじわ」効いてきます。このINFOBARのサイズは、まさに日本人の手の大きさを考えて設定されたのではないかと思えます。
さらに言うと、その小さな端末が隅々までしっかりデザインされて、きっちり作り込まれているわけですから、単に小さいだけでなく「凝縮感」も非常に高いわけです。この凝縮感は、ガジェット好きにはもちろんのこと、普通のエンドユーザーにとっても「よいものを買った感」の演出にもつながっているのではないでしょうか。
ということで、僕の感じたINFOBARの魅力について、いくつかご説明しました。
こうして改めて考えてみると、実は、iPhoneとAndroidの差は、もう殆ど無いのではないかという気にさせられます。
僕にとって、iPhoneの最大の強みとは、そのUIの美しさや洗練さ、そして作り込みにあると思っています。徹底して気持ちよく使えるようにデザインされた凄みこそが、iPhoneの最大の武器です。それは技術力というより、センスや経験、そして妥協しない作り込みが大事であって、それをAndroidがキャッチアップするのは相当に大変だろうなと考えていたわけですが、実は、徹底してこだわる環境と能力のあるデザイナーさえ揃えば、かなりのところまでiPhoneに対抗できてしまうことが証明されたのではないかと思うのです。
言ってしまえば、所詮INFOBARのUIなんて「スキン」に過ぎません。それでも、デザイナーがきちんと考えて良い仕事をすれば、これだけのものが作れてしまう。
iPhoneのクオリティに比べれば、Androidなんてまだまだだよね!と言っていたのですが、その認識は、そろそろ改めるべき時が来たのかもしれません。そして、これからのAndroid端末の可能性を思うと、本当にワクワクしてきます。
INFOBARは、僕にそんなAndroidの可能性を見させてくれました。INFOBARかわいいよ。
おかげさまで、先日書いたエントリーが大反響となってしまいまして、公開して以来、20,000件以上のアクセスを頂いているようです。いただいた反応のほぼ100%が、ホットペッパーさん(以下HP)のやり方に対する批判だったわけですが、こちらもエントリーにした以上は、やはりリクルートさんの正式な見解などを聞きたいと思っておりました。
するとおかげさまで、FB上の友人を通じてリクルートの担当さんと責任者さんをご紹介頂けましたので、早速お二人にことの経緯や考えなどを聞いてみました。しかし、エントリーを書いた翌日には、それを手がける中の人に会えるなんて、ソーシャルってすごいすね。
【お話の概要】
日時:2011年7月3日 17:00
場所:豚組しゃぶ庵
出席者:リクルート社T氏&Y氏(ホットペッパーグルメの編集長と、カスタマーアクションの方です)
つくづく思うのですが、こういうとき、日曜だろうがいつだろうが、即アクションを起こして顧客の所に駆けつけるという、リクルートさんの行動力というかそういう社風には頭が下がります。
【お聞きしたこと(要旨だけを一部抜粋、順序も変えてあります)】
(質問)今回の一件は、FBと組んで行ったことですか?それともHPさんが独自に行ったこと?
(回答)FBは、この件には一切関知していません。HPが独自に行っています。
(質問)では、今回店舗の了承を得ずにスポットを作りクーポンを発行しているケースは、FBの規約上は違反状態にあるということ?
(回答)その通りです。なので、現時点で了承を得ていない分については、早急に飲食店の了承を確約を取り付けるか、スポットを非公開/削除する必要があると考えています。豚組さんについても、例のブログを拝見した当日の夜には、クーポンとスポットの両方を削除済みです。
(質問)このスポットとクーポンは、FBのチェックインクーポンの仕組みを使っている?
(回答)その通りです。(中村注:おそらく、ウチのクーポンがFBから拒否されたのは、これによってクーポンが競合したことが理由だったと思われます)
(質問)現在、きちんと了承を得ずにスポットを作り、クーポンを提供してしまっているお店はどのくらいありますか?
(回答)現在把握しているのは豚組さんだけですが、まだスタートした直後ですので把握し切れていない分があると思っています。それについては、今後フォローアップしていく予定です。なお、それ以外の内訳は以下の通りです。
(質問)今回、飲食店にはどのように告知し承認を得て掲載に至ったのか、そのプロセスを教えてください。
(回答)まず、6月7日から、営業が接点を持っている20,000店舗に対し、営業マンが直接訪問して事前説明を行いました。さらに、6月17日には、営業がフォローできない20,000店舗を含め、ほぼ全店舗にDMを送付しました。(件のAPカンパニーさんなど、営業が説明に行っていることが確実な大手さんなどについては、DMを送っていません)それら告知の結果、約3,000店舗については「掲載不要」または「ペンディング」となったため、それを除いた37,000店舗の掲載を行いました。なお、豚組さんは、後者のDMのみで告知した店舗に該当していますので、送付がどこかで漏れてしまったか、開封しないで捨てられてしまったか・・・。
(質問)飲食店からきちんと委任された上で、スポットを作りクーポンを出していることが明確になっていなければ、FBの規約上、またユーザーに対する信頼の面においても問題だと思うのですが、その委任については、飲食店と個別にドキュメントを交わしていますか?
(回答)交わしていません。これまでのリクルートの考え方に則り、そこで万が一トラブルが発生した際に飲食店から責任を追及されたとしても、そのリスクは全てリクルートが負うという覚悟で行っています。よって、今後もそのような契約を交わすことは考えていません。
(質問)今回、なぜこのように乱暴かつ拙速なやり方をとってまで、いきなり数万店舗のスポットとクーポンを掲載することにしたのでしょうか。「拒否したお店を掲載しない」ではなく「掲載して欲しいと申請したお店だけを掲載する」という方針にしなかった理由は何ですか?
(回答)HPとしては、今までのようにゆっくり一件一件コツコツと取り組んでいても、飲食店のITリテラシーはいつまでたっても向上していかないと考えています。また、せっかくスタートしたFBのチェックインクーポンも、いつまでも普及しないだろうと思いました。そこで、その流れや認知を一気に変えたかった。そのため、ある種のインパクトや話題性を提供することも含め、一斉登録が必要だと考えた次第です。実際、豚組さんからはこのようなご批判は頂いていますが、現時点ではお店からは「ありがとう」という声が圧倒的ですので、どちらかというと好意的に受け止めて頂いているのではと認識しています。
(質問)それにしても乱暴すぎると思うのですが、店舗に対するきめ細かいフォローアップとか、飲食店個別にどれだけ意識を高めて運用してもらうかとか、その辺をしっかりした上でないと、むしろせっかくのチェックインクーポンの仕組みや信頼が破壊されると思うのですが、そこはどうお考えですか?
(回答)そこはとても重要と考えていますので、今後、一件ずつ丁寧にケアしていくことになっています。
(質問)あくまでもFBなりチェックインクーポンは他社サービスなワケで、そこまでHPさんが無茶して必死にやらなければならない理由は何ですか?何のメリットがあるのですか?これのマネタイズはどのように考えているのですか?
(回答)現状では、短期的なマネタイズは考えていません。また、FBページの運用代行のような商売も、あまり可能性がないと思っているので、それで儲けようとも思っていません。現時点では、とにかく飲食店のITリテラシーを高めたり、ネット集客を普及させていきたい、という一点だけです。マネタイズについては「いずれ長期的に、なにかお金に結びつくのではないか」というレベルでしか考えていません。また、中村さんがブログで書いていた、「クーポンの発行数を増やすため」のような動機もありません。そこの誤解だけは解いておきたいと思っています。
(質問)その志は立派だと思うのですが、その回答だけでは僕の方が気持ちが悪いのですが…リクルートさんがそんな高尚な理由だけで、ここまで入れ込んでやるとは思えないし、説得力もないのですけれど。たとえば、「チェックインクーポンと言えばHP」という想起を高めて何らかの形でニーズを刈り取っていくとか、「飲食店がネット集客をしたいと思ったとき、まず相談しようと思うのはHP」みたいなポジションを取りに行きたいとか、そういうことを考えているとかなら、多少なりとも理解できるのですが。
(回答)それは確かに考えています。HPとしては、「お店までお客さんを連れて行って終了」というのが今までのクーポン事業だったわけですが、昔から「送客したあとの取り組み」の領域に踏み込みたいというのが悲願だったのです。そして、それがようやくできるようになりつつあるのではないか、というのが私たちのソーシャルに対する期待です。ですので、今までできなかった「来店後」をサービスとして取りに行きたいとは思っています。そして、そのための一歩として取り組んでいるという次第です。
【僕の感想】
FBクーポンのおもしろさは、単なる今までのクーポンと違って、グループでチェックインするともらえるとか、何回か通ってチェックインするとサービスが受けられるとか、そういう点にあると思っています。それをどのように活用したら、新規を獲得したり常連さんを増やしていけるのか。そういう意味では、今後、店舗に対してクーポンプランニングのようなサービスが求められることになっていくのかもしれません。HPさんが本当にそこを狙っているのだとしたら、確かにそれは「アリ」だと思えました。
しかし、それを本気でやりたいなら、きちんと飲食店に説明したり、お店のニーズを把握した上で最適なクーポンを提案すること不可欠なはずです。丁寧なサポート体制も必要でしょう。FBでの最大の目的は、単にクーポンで集客することではなく、それを出発点にして、いかにお客様とコミュニケーションを取っていくか、にあるはずですから。しかし今回のHPさんの動きは、あまりに乱暴で画一的。きめの細かい対応は全くありませんでした。このようなやり方をしている会社が、果たして店舗個別に、ある種コンサル的ともいうべきサービスを提供できるようになるのでしょうか。
そこが全く見えないことこそが、今回の多くの方々の拒絶反応にも繋がっているというのが僕の考えです。HPさんが今回採用した乱暴なアプローチでは、伸ばそうと思ったチェックインクーポンの可能性をつぶすことにだってなりかねないと思います。
僕のこのような懸念は、お話の中でも何度も繰り返しお伝えしました。そして、そこについては彼らも「理解してくれている」ように思いました。今後、彼らがどのようなやり方を採ってくるか。そして、それをどう僕らに見せてくれるのか。それに注目していきたいと思っています。
豚組しゃぶ庵の店長から「今日、突然、ランチでお客様がFacebookでチェックインしたからクーポンのドリンクをくださいって言われて驚いたんですけど、ウチの店ってFBでチェックインのクーポンとかやり始めたんですか?」と聞かれました。
確かに僕は昨晩、FBクーポンを申請したのですが、それは今朝方「規約に違反しているので却下されました」という連絡をもらったばかり。そんなはずはないだろうと、店舗でチェックインを試したら、驚くべきものを見つけました。
僕らの作った公式ファンページにひも付いたスポット情報とは別に、身に覚えのない「豚組しゃぶ庵」のスポット情報がある・・・
しかもそれにチェックインしたら、こんな画面が表示されました。
ほ、ホットペッパー!?
そうなんです。つまり、ウチが掲載しているホットペッパーのクーポンが、なぜか急にFBでチェックインをすると利用できるようになっていたのです。しかも、事前に加盟店であるウチには何も連絡せず、まるで豚組の公式スポット情報と競合するかのように。
うんうん、リクルートさん、攻めてますね。とかそういう呑気なことを言ってる場合ではなく、これは実はかなり大きな問題だと思ったので、ここで急ぎブログとして僕の見解と懸念をまとめておくことにしました。
1)お客様(ユーザー)にとっての問題
一つの店に対して複数のスポット情報が存在してしまうのは、foursquareをはじめとするあらゆるジオ系サービスの宿命だと思うのですが、これはユーザーにとっては常に「迷い」や「混乱」の原因となっています。
果たして、自分はどのスポットにチェックインしたらいいのか。少しでもジオ系サービスを使ったことのある方なら、そう迷ったことのある方は少なくないでしょう。
特に、豚組のように、ネット系ユーザーの来店が多いお店では、チェックインは「今、このお店に誰が来ているのか」を知るための重要な手段にもなっています。そのチェックイン情報を通じてユーザー同士が知り合い、交流につながることも少なくないわけですから、スポットがいくつも同時に存在することは非常に問題です。
2)お店にとっての問題
店舗からしても、複数のスポットが存在するのは、非常にやっかいな問題となりかねません。
たとえば豚組では、公式のFBページを設けており、そこにスポット情報をひも付かせています。これによって、僕らのFBページには常に「誰が来店したか」の履歴が残せるようになっているし、このページを通じてお客様とコミュニケーションを取ることも可能になります。お客様の問い合わせがあったら対応することだって簡単です。
しかし、そのスポット情報が、他にも存在していたらどうなるでしょう。当然、そちらにチェックインしてくれたユーザーを把握することもできないし、お礼を言うことだってできません。せっかくユーザーが「いいね!」を押してくれても、その「いいね!」は全く無駄になってしまいます。もちろん、お店としてはそこにお知らせを出すこともできませんから、勢い、こんな感じの「全然FBに取り組んでませんよ」という寂しいスポット情報となってしまいます。お店にどのくらいのチェックインがあるかは、お店の評判やクチコミにも影響があるので、お店としてはとても重要なデータです。しかしこれが複数のスポットに分散してしまうのは、つまりお店にとっての貴重な財産が無駄になっていると言っても過言ではないでしょう。
こういう問題があるからこそ、FBではこれまで「公式スポット」とでも言うべき仕組みを用意してきました。僕はそれをすごく美しいと感動したのですが、つまり、いくつか重複するスポット情報が登録されていたとしても、その中のどれか一つを選び、お店自身が「このスポット情報が公式ですよ」と定めることができたのですね。公式スポットとして登録されると、それはFBページにも統合でき、営業時間やメニューも登録できるようになり、「チェックインの可能なFBページ」という、ローカルビジネスならではの機能を持ったユニークなページが作れたわけです。(重複がある場合は、名寄せして一つにまとめられるという情報も聞いたことがありますが、試したことがないので分かりません)
しかし、せっかくこうしてスポット情報を整理して運用しようとしていても、その横でホットペッパーが「クーポン付き」のスポット情報を作ってしまったら、その全てが台無しになります。ユーザーだって、同じチェックインなら「クーポンがもらえるチェックイン」の方が良いに決まっています。だとすると、それなりの割合で、ユーザーは店舗の公式スポットではなく、ホットペッパーのスポットにチェックインするであろうと推測できます。こうなると、僕らFBページを運用している店舗側としては、そのお客様とつながる大切な機会を失うことになるのです。
念のため付記しておくと「FBに慣れていないお店にとっては、ページを無料で作ってくれるんだから、悪い話じゃないんじゃない?」というご意見もありましょうが、僕はこれには懐疑的です。そもそも、一昔前のホームページならともかく、FBページの運営には、ユーザーとのコミュニケーションが不可欠です。ページを作っただけで何かが得られることはなくて、そこでのコミュニケーションを積み重ねることで、初めて結果の出てくるものですから、ページができただけでは意味がないのです。ページを作ることができない人が、どれほどの運営ができるのか。お客様からの問い合わせに気づかずにスルーしてしまって逆効果になることもあるのだ、ということは意識しておくべきでしょう。
3)Facebookにとっての問題
ここまでFBがビジネスプラットフォームとして伸びてきた大きな要因の一つが「FBページ」の存在であることは、誰も異論はないでしょう。FBは、FBページの仕組みをマーケティングに活用できるように進化させることで、多くの企業ユーザーや個人ユーザーを惹きつけてきました。
そのFBページの最大のメリットは、「顧客と企業/店舗がFBページを介してつながること」にあったはずです。しかし、今回の「重複スポットの大量登録」は、まさにそれを自ら破壊することつながりかねないと思うのです。
こと飲食店に代表されるローカルビジネスにとっては、スポット情報やチェックイン情報は何よりも大事なデータです。これを散逸させ、さらにその店舗のFBページにユーザーを誘引させない方向に作用する「ホットペッパースポット」は、お店の商売を損なうことにしかならないのではないでしょうか。
そして、そうなってしまえば、FB自身にとってもゆゆしき事態になることは火を見るより明らかです。このような活動は、FBページの価値を落とすことにしかなりません。それは、つまりFBがこれまで築き上げてきたFBページの価値を、自らで破壊することを意味しているのではないでしょうか。
(以上は、リクルートとFBが握って展開しているはずだという仮説に基づいて書いております)
4)ホットペッパーにとっての問題
僕ら飲食店は、なぜホットペッパーに出稿し、クーポンを発行しているのでしょうか。それはひとえに「一人でも多くのお客様にお店の存在を知ってもらうこと」そして「一人でも多く集客してもらうこと」に尽きます。逆に言えば、ホットペッパーは、自らの紙媒体やウェブページを通じて加盟店をより多くの人に知ってもらうように努力し、さらに集客に結びつけることによって、加盟料を得ているわけですね。
その中でクーポンの存在は、「実際にホットペッパーが集客した証拠」として重要な役割を果たしていました。
つまり、僕らは「ホットペッパーが集客してくれる」ことに対して、その集客コストとしてクーポンを発行し、無料でドリンクをサービスしたり、割引をしたりしているわけです。
しかし、FB上でスポット情報とひも付いたクーポンを提供するというのは、それとは全く異なります。例えばこんなケースが考えられます。
食べログを見て、評判がよいので予約をした
↓
お店に行ったので、記念にチェックインしておこうと思った
↓
そしたら、ホットペッパーのクーポンが表示された
↓
ラッキーー!と、お店の人に見せてドリンクをサービスしてもらった
さて、こういうケースだったら、僕らは何のためにクーポンを出していることになるのでしょうか。
そもそも、ホットペッパーは、集客には全く寄与していません。単に、最後の最後に「クーポン」を出すときに突然登場するだけで、営業的には何も貢献していないのですね。
ホットペッパーのウェブを見て、豚組に興味を持ち、そこに掲載されている電話番号やメールアドレス宛に予約を入れ、その際に「ホットペッパーを見て予約しているのですが、クーポンを使いたいので宜しくお願いします」というのとは、意味が全く異なるわけです。
なぜホットペッパーがFB上でこんなことをやったかは、なんとなく想像は付きます。これまでは、「クーポンの発行数」が、イコールホットペッパーの集客実績としてカウントされてきたからです。もっと言ってしまえば「ぐるなびは先月10組のクーポン利用があったけど、ホットペッパーさんは3組しかなかったよ。だから、ホットペッパーさんはやめようと思う」みたいな話だって、加盟店との間では日常的に数え切れないほどあるに違いありません。
だから、いかにしてクーポンの利用数を増やすかを考えたのでしょうね。
FB上でどんどん加盟店のスポットを増やして、片っ端からクーポンを付ければ、クーポンの発行数はどんどん増えていくはずです。つまり、「集客を増やす」ことを目指したのではなく、安易に「クーポン発行数」を増やそうと考え、その結果としてこのような施策に打って出たのだろうということは想像に難くありません。
しかし、このようなことをやって、これが長い目でみてホットペッパーにとってプラスになるとは思えません。事実、僕は週明けにでもすぐにリクルートに連絡をして、掲載をやめようかと思っているくらいですから。チェックインに連動してクーポンを出したいなら、FBクーポンで面白いことをやった方が、よっぽど僕らもお客様も幸せになれます。
そういうわけで、ユーザーにとっても混乱の種となり、飲食店にとっては営業妨害になり、FBにとってはFBページやPlacesの価値を下げ、ホットペッパーにとっても得るところのない、今回のような取り組みは、是非とも早急に見直しをお願いしたいところです。
事実を知ったのが16:00、これを書いたのが18:30と、極めて短時間でまとめてアップしているので、考察の甘いところがあるかもしれません。ご意見などがあれば、ぜひFBもしくはTwitterで僕宛にお寄せ頂ければ幸せです。
久々の更新です。
しばらくブログを更新していない間に、iPad2を買いました。それが大して期待していなかった割には「ものすごく良い」んですね。なにがこんなに良いんだろうとずっと考えていて、ようやく結論めいたものが見えたのですが、それは結構大事なことだと思ったので、一応ブログに書きとめておくことにします。
初代iPadはなんかイマイチだったんですよね
実は、僕は約一年前に期待感たっぷりに初代iPadを購入したのですが、結局ほとんど使わずじまいでした。理由はいくつもあります。分かりやすいところでは「ソフトウェアキーボードが使いづらい」点などが挙げられるのですが、しかし実際のところは、それが全てではありませんでした。なにか、しっくり来ないんですね。モノとしての愛着も沸きづらかった。
今までは、何がそういう「微妙な違和感」に繋がっているのかを理解できなくて、「結局iPadっていうのは、商品企画そのものが中途半端だったんじゃねーの?」とか思っていたわけですが、今回iPad2を使い始めて、iPadの魅力を再発見することとなりました。誤解しててごめんなさいアップルさん。また同時に、何がその「微妙な違和感」だったのかも、なんとなく分かった気がします。
iPad2の改善点
では、iPad2になって、一体何が変わったのでしょう。
分かりやすいところでは、まずA4に替わってA5のデュアルコアになった。薄く、軽くなった。カメラが二つ付いた。こんな所でしょうか。一見すると、このアップデートには、全く派手さはありません。僕自身、最初にiPad2に触ったときは「なんだ、大して変わってないじゃん。これなら買い換える必要はないな」と思ったくらいですから。
しかし、実はiPad2は、スペックからは分からないくらいに良くなっているのです。僕が実際に持ち運んで使い続けた結論は、iPad2は「初代とは全く別のモノになっている」こと、そして「MacBookやiPhoneに負けないほどに愛着のわく道具になっている」ことです。
iPad2の何がそんなに変わったのか
iPad2を使うようになって、僕は初代には感じなかったような「愛着」を感じるようになりました。これは、「道具」としては極めて重要なことです。日々持ち歩きたいと思わせることができるか。多少荷物が増えても、鞄に入れて連れ歩きたいと思うか。このハードルは、実は思った以上に大きいのですね。そして、それをクリアできるかどうかを左右する最大の要素は、実は「スペック」ではありません。一番大事なのは、「モノとしての気持ちの良さ」のような、感性に訴えかけるものなのです。
この感覚は、どちらかというと文房具選びに近いものがあります。僕は実は子供の頃からかなり文房具が好きで、今だって万年筆は手元に10本以上あるし、それこそノートだってダイアリーだって便箋だってファイルだって、様々な製品を山ほど使ってきました。しかし、その中で本当に愛着を持って使える製品はごくわずか。その違いはなに?と聞かれると、それは本当に些細な、意識しなければ気づかないような差でしかありません。たとえば紙の微妙な薄さや白色の違い。罫線の印刷の濃さの違い。ミシン目のクオリティ。ペンの重心の位置のわずかな違い。インクの発色の差。持ったときに手に伝わる重さ。そういう細部の違いが積み重なり、やがて大きな違いになって現れるのですね。
これは、作り手側が文具を作る際に「どこまでこだわっているか」によるところが大きいのではないでしょうか。単に偶然が重なって「気持ちの良い道具」ができ上がるとは思えません。
気持ちの良い文具には、それだけ作り手のこだわりや思いがこもっています。その違いは、言葉で説明しなくても、使う側にも熱量となって伝わるんですね。
iPad2は、もはや文具の域
さて、そこでiPad2の「気持ちよさ」とか「愛着」を考えます。
iPad2は、その点において、初代とは全く別物になったと言って良いでしょう。そしてその理由は、文具と同じように、数字からは読み取れないところにあります。
持ち上げたときに手に伝わる「重み」。掴んだときに感じる適度な「薄さ感」。モニターと枠の部分の絶妙なバランス。ボタンのクリック感と柔らかさのバランス。スマートカバーが締まるときの「パタン」という、硬さを残しつつ角の丸められた音。などなど。
こういうわずかな違いが積み重なって、結果として、iPad2は初代とはまるっきり別次元の気持ちよさを手に入れたのではないかと思うのです。少なくとも、モノとしての完成度は、初代とは全く別物です。iPad2から伝わってくる「デキの良さ」は、MacBook Airすらも超えているのではないでしょうか。というより、キーボードがない分、高い凝縮度と軽快さを両立していると言って良いでしょう。
そしてもちろん、こういった五感に訴える「道具としての素性の良さ」は、その内部に詰め込まれたA5のプロセッサーや美しい液晶などのスペックに支えられて、最後までその気持ちよさが裏切られることはありません。
こうしてiPad2を使っていると、初代iPadはまだまだ試行錯誤のただ中だったのだなあということもよく分かります。単なる板状の製品でも、筐体にこれほどデザイン改善の余地があったとは。初代は、重さも明らかに重すぎますし、純正カバーも、そこはかとなく残念感が漂います。今、改めて初代iPadを触ると、なんというか、道具として「スカスカ」な感じがするんですよねぇ。
「こういうプロダクトにしたい」という明確な意志
iPad2を触って感じるのは、おそらくアップルは「どういうプロダクトにしたいか」という明確な意志のもとにデザインやスペックを詰めていったのだろうということです。
どういう人たちに、どういうシーンでどう使って欲しいか。iPadを魅力的なツールにするためには、どんな感性に訴える必要があるのか。何を磨けばよいのか。
単に最新のテクノロジーを詰め込んでも、それだけでは「気持ちの良い」ツールはできません。それは文具で言えば、ただ紙に線を印刷してホチキスや糊で綴じただけのノートを作るに等しいことでしょう。アップルがすごいのは、テクノロジーをパッケージして出すだけでなく、それを「気持ちよさ」を感じるところまでツールとして高めていくことができる点なのですね。
ということで、iPad2、可愛いです。(PRODUCT) REDのスマートカバーを付けて、FREITAGのスリーブに入れたりしたら、なんかもうステキすぎて(^^)
頑固な本質探求主義者(c飯野賢治)。あくまでも、Twitterの「@hitoshi( http://twitter.com/hitoshi )」の方が本館です。某電器メーカー、外資系広告代理店を経て、2000年からレストラン経営中。飲食業とソーシャルメディアの接点を日々考え、飲食店のネット最適化を模索したり。
最近のコメント